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ベンチェ省タインフー郡ルオンテーヴィン高校の学校菜園

10年ほど前スローフードフレンズ北海道主催のイタリアのドキュメント映画
「テッラマードレ」(母なる大地の意)を札幌で観る機会がありました。
トリノで2年に1度開かれるスローフード世界大会の様子と
各国での持続的農業などに取り組む姿を詩情豊かに捉えていました。
その中で自分に余韻を残し続けていたのは確かアメリカかどこかの高校で
生徒たちが校庭を耕しオーガニック農法で野菜を育てている姿でした。

それと同じ取り組みをベトナムは南部のメコン川デルタ地帯ベンチェ省の高校に
見せてもらいました。それが有機農業を巡る旅の皮切りでした。
案内してくれたのはベトナム在住の伊能まゆさん。
NPO法人Seed to tableの代表として日々貧しい人たちの生活改善として有機農業を
根付かせようと走り回っています。学校に有機菜園を定着させたのもまゆさんの力です。

まゆさんは去年春にベトナムの人々を北海道の研修旅行に引率する前に
新得に大町さんというスローフードの友達と来た時に我が家に一泊しました。
楽しい陽気な宴の時に出たのが私たちのベトナム訪問の話でした。
コンサートツアーをベトナムでなんて半分冗談で盛り上がりました。

偶然は重なるもので同じ頃、数年前ウーフで滞在したベトナムに長年在住の
翻訳家&アーティストのオーストラリア人女性からメールをもらったりして、
もうこれはベトナムに呼ばれているから行くっきゃないと思い込んだのでした。

ココヤシの中の田舎の街道を総勢8名でミニバスに乗って赤地に黄色い星の
国旗はためく高校に着きました。乾季なので暑いけれど風が気持ち良い2月末でした。

校長先生ははつらつとした笑顔の美しい人で、え?こんな人がとちょっとびっくり。
この方も昨年春に占冠山菜市で会っているはずです。
先生方も若い人が多いし生徒たちもピュアーな感じの子が多くみんなで
私たちを歓迎してくれました。
高校生と校長先生が私たちを学校菜園に案内して説明してくれました。
強い日差しとスコールを避ける為透明と黒の寒冷紗が交互に張られています。
堆肥を作ったり水をあげたり混植を考えたり唐辛子やにんにくで自然農薬を作ったり
生徒が当番制で世話をしています。敷き藁を丁寧に敷いていたり作物は生き生きと
元気に育っていました。この辺りは時に塩害が起こるのでそれが一番大変そうでした。

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そのあとは大きな部屋に移動して有機菜園の取り組みを子供たちがプレゼンテーション。
とても楽しんでやっていること、出来た10種類の野菜を地域で販売もしているとのこと。
野菜の味はある生徒が家に持ち帰って両親に内緒にしていて食べた後この美味しい野菜は
どうしたんだと言われとても嬉しかったことを話してくれました。

そこには省の教育長や党の幹部のような人も来ていました。
そんな偉い人が最後にはっきりと環境に配慮することや有機農業の大事さを話したことに
すごい!と思いました。

学校菜園は始めた当初は単なる農業体験としてスタートさせたけれど
有機に変えてから子供たちが興味を持ち出して卒業生の中で4人が農業の専門家として
学ぶようになったと校長先生は話しました。

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高校生たちがデザインコンペで描いたオーガニック菜園の看板

プレゼンも終わった頃、菜園では当番の子供たちがジョウロで水をやったり
生えの良くない場所に何かの苗を移したりしていました。
その表情は生き生きしていて本当に大事なものを育てている風でした。
そんな子供たちを前に持って行ったアコーディオンで青虫の歌を歌いました。
こんな夢見たいな風景で歌わずにはいられませんでした。

さてそんな水やりに励む子供たちをよそに
体育館の中では先生方全員と交流会の名のもと酒宴が始まりました。
このあたりも規則にうるさい日本ではありえないことでしょう。
手作りの料理、海沿いなのでカニやエビもたくさん用意していただき
地酒を握手しつつ酌み交わしました。まゆさんが通訳してくれたからこそですが、
国の違いがどこかへフッと消えたように感じていました。
しかもオーガニックで繋がっているなんてとても素敵なことです。
ベトナムの人々のおおらかさとホスピタリティに感動した夜でした。
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