夕方に、少しばかりのマキのお裾分けを持って友人のひでおちゃん真由美ちゃん宅に行ってきた。
家の中ではトマトやナス、ピーマンししとうなどが元気な双葉を広げていた。
ひでおちゃん達は果菜類が得意、わたし達より1年早くここ新得町に入植した。
真由美ちゃん手作りのうぐいす餡パンとコーヒーをいただきながらしばし談笑する。
沖縄旅行に出る前に見せて貰った新しいマリオネットの人形はまだ真っ白だった。
それが今日見ると表情がつき、きれいに色が入っていた。
人形作りから洋服作りまですべてひでおちゃんの仕事。
こつこつと、きっと職人のように仕上げていくのだろう。
この冬は「フランダースの犬」を近隣の町村の保育所・図書館などで上演していた。
毎年、前の冬に作った劇を演じながら同時に次の冬のために準備する。
ずっとそうやってきた。
今度の冬に演じるのは「森のお姫様」というお話。
バスケットの中に無造作に入っている人形達は、なんとも可愛らしくそして美しい。
いつもながら惚れ惚れしてしまいため息が出る。
すきまだらけの離農後の家に住みながらも、簡素な生活そのものを楽しんでいる二人。
雪に埋もれながら人形を制作しお菓子を焼く仲の良い夫婦は
まるで人形劇の物語の中の住人そのものなのではないかという錯覚すら覚える。
たとえば通りを歩く貧しく心の荒んだ人々に神様を見た靴屋のマルティンのような・・・。
宮沢賢治の作品が好き、星座の観察が好き。
何とも愛すべき友人達なのだ。