正面の木々のむこうがヒグマ親子のいる谷間。
少なくてもこれを撮った時にはいた。

さいごの一本の追い込みにかかっていた時、
背後の谷間から銃声が!.......
一分間くらいの間をおいて合計四発。

草を抜きながらキムンカムイ(ヒグマ)のことを考えていた。
しかし、突然のその四発が親子のクマの射殺をいやでも想像させ、悲しくなった。
ただのセンチメンタリズムではない。
ヒグマをキムンカムイ(山の神)と呼び共存してきたアイヌの人達の世界観と、
なんの精神性もなく害獣駆除の名目で簡単に殺してしまえる世界観との
隔たりが悲しいのだ。
豊かな精神性をもったアイヌの人々の暮らしを奪い、
無理やり同化させてきた日本人。
今自分が暮らす北海道はその上に立っていることを忘れないようにしたい。

霧雨の中、谷は静まり返っている。
最後の列を取り終えた。