家のそばの人参畑でカミさんと二人、草を抜いていると、
パトカーが入ってきた。うちに不似合いなピカピカの白と黒と赤。
なんにも悪いことはしてないが、「逮捕されるかも知れないからあとはよろしく。」
と言い残し哲学の小径をぬけて小走り。

おまわりさんの顔は少々こわばっている。
うちの東側はすぐ緑生い茂る大きな谷なのだが、
親子グマがこの谷に来ているので注意して下さいと。
親子グマは危険なので家にいてください。
ハンターが2名入っていて散弾銃を持ってるので
当たらないように気をつけてくださいとのこと。
僕はわくわくしてきたので、つい顔に出ていたのだろう、
念をおして去っていった。

ありがとう。でも知ったことか。
運悪く散弾銃で死んだらうんと賠償金もらって
家族に楽をさせてやる。

親子グマの無事を祈る。アイヌの人達はキムンカムイ(山の神)と
ヒグマを呼んできた。高位のカムイ(神)として敬い
共存してきたのだ。
何も危害を加えたわけではない、ただ歩いたというだけで射殺されるのは
ワリに合わない。

僕らはかまわず人参の草を抜く。
出てきたら写真くらい撮らせていただくとして用意しつつ、
さらに、うちでかくまってあげたい気持ちだ。

うまく逃げてほしい。ハンターの自慢話など聞きたくはない。

とはいえ昔、夕食にカレーの用意をしていた時に
友達のハンターが、「おう、クマ獲ったぞ!」とクマの肉を置いていった。
急きょ豚肉のかわりにクマ肉を入れる。
クマカレーは初めてだ。家族みんなで頂く。
年のクマなので少々すじばっていたが、味は鯨肉のよう。
突然、自分の口の中で何かがガリッと歯にあたった。
とりだしてみると、なんと、めくれあがったライフルの弾!!

ワイルドな地帯である。
発砲音が聴こえませんように。
クマの親子の無事を祈っている。