じゃがいも畑に行ってみた。30cmくらいに展開した葉の中心部を指で広げて見ると、
小さな蕾が出来ている。草丈の大きい順にワセシロ、ハナシベツ、マチルダの3品種を播いている。
ワセシロは美しい青ムラサキの花をやがて咲かせる。
蕾が出てきたら土寄せのタイミングだ。
人参の第3回目の播種(はしゅ)のための畑の準備を済ませ、
午後からジャガイモの土寄せ作業をする。
耕運機に大きなV字型の羽根をつけうねの間を走り、両側に土を寄せていく。
一本ずつなので時間と体力がいる。
合計同じ所を2回かけるので、計6km以上耕運機とともに歩いたことになる。
ジャガイモとジャガイモの間の雑草もほとんど土に隠れてきれいになった。
畑は草取りでもなんでも終わった後を見ると掃除をしたあとのようなすがすがしさを覚える。
彼方には幾重にも連なる日高連峰が静かにある。青からほとんど白に近い青へのグラデーションは
美しい。

そういえば庭先にはエゾハルゼミの亡骸が目立っていたが、生の役目を終えたのだろう。
あれだけうるさく鳴いていたのがウソのように、森はおとなしくなり、鳥の声がこだまするだけになった。
セミは何年も土の中で過ごし出てきて羽化してから1週間くらいしか生きないといわれる。
うちのジイが「たった1週間だったらつまらないなあ」と言っていたが、僕はそうは思わない。
何年も土の中で過ごすのもセミにしたらそう悪いことではないかも。
飛んでジージー鳴く1週間も人間の時間感覚とはまったく違って長く充実した時間なのかもしれない。
運悪くクモの巣にかかりグルグルまきにされるのもいる。
それでもそれを不幸だとみるのは何か違うような気がする。

途中でエンジンを止めそんなことを休み時間に考えて、盛り土作業を終えたのは
もう日がとっぷり暮れて暗くなる頃だった。
すぐ近くでエゾシカが「キョッ」と鳴いた。