農場日誌

ひろういの農に生き音楽を作る日々 Since 7th June 2007

March 2019

ベトナムでアコーディオン ニャチャンの巻

KIMG0963

ニャチャンの60年代カフェのニルヴァーナにて

KIMG0956

ニルヴァーナのオーナーとパチリ。夜はライブハウスになります。 お店の向かいの壁には蝶々の羽などもありインスタ映えスポット

東海岸のビーチリゾートで有名なニャチャンに住むベトナム在住25年ほどになるスーに
数年ぶりに再会、御両親はハンガリー動乱の時オーストラリアに難民として移住しスーは
そこで生まれ育ちました。写真家、アーティストと多才ですが今は日英の翻訳家としてベトナム
で独立して仕事をしています。独身の彼女の家に三泊させてもらいニャチャンの街のカフェや
食堂を食べ歩き友達の家に遊びに行ったりゆっくり過ごしました。最後の夜はハンガリーの
料理を何皿も準備してくれて外のテーブルに美しいクロスをかけ食事を楽しみまました。
うちではカボチャ磨きやニンジン抜きなどしんどい農作業を手伝ってもらっただけなのに
たくさんのおもてなしを受けました。感謝!

IMG_1331

ニャチャンのスーの親友クーンさん。 後ろ姿はスー。 クーンさんは果物屋を経営していますがキュレーターでもあり自宅はセンスのいいものでたくさんでした。難民としてオーストラリアに住んでいたため英語が堪能です。

KIMG1024

まるで素敵なカフェのようなクーンさんの自宅でアコーディオン演奏、幸せ。

ベトナム視察ツアー 魚とココナツ編

P2271951
南部ベンチェ省にいる間は伊能まゆさんが仕事の時に常宿にしているホテルに宿泊。メコン川に面していて気持ちの良い風が部屋を吹き抜けました。

副知事さんに食事に招待された後、すぐ近くにあるホテルに戻り街を散策。
スーパーもありますが小さな昔ながらの食材や食べ物を売る店もたくさん。
昭和30年台生まれにはなぜか懐かしく人の生きる活気があります。

夜に涼みリラックスするために家族連れなどがコーヒーショップの外テーブルに座っています。
私たちもアイスコーヒーを注文、ベトナムではコーヒーはどこも美味しかった。
おもむろにアコーディオンを取り出し弾きだすと最初はびっくり顔でもやがて笑顔に
なってくれます。雑踏で弾いているのがどこであろうと一番幸せです。

ビンダイ郡の魚の加工場視察 3月1日

P3012142
そろいの赤いユニフォームの女性たちが網に広げた魚を干し場に展開していきます

今回のツアーで日本から来た中で有機農家は私たち夫婦だけで西伊豆から来た食品加工や鰹節の会社を営む社長さん達も来ていました。予定にはなかったのですが副知事のラプさんがせっかくなのでと
ビンダイ郡のヴィエトフィッシュという水産加工場を紹介してくれて見学できる事になりました。
P3012151
P3012159

この辺りはボートピープルがたくさん生まれた地域だということですが、
この会社ができたことでたくさんの雇用を生んでいます。
女性達が各地の港から送られる魚を(内臓は取ってある)素早く開き網の上に並べていました。
朝3時から夕方遅くまでほとんど機械力に頼らず大勢が働いていました。
天日乾燥なので乾季の今だから稼ぎどきなのかもしれません。
製品は味付けされ日本に輸出されます。エイヒレやすり身を小判型に加工したものやイワシの開き
のようなもの、お土産にたくさん頂きましたが味は日本で食べるおつまみそのものでした。
日本に来ると20倍の値段になるそうです。

ヤシの木がたくさんのビンダイ郡ヴァンクオイドン村訪問

P3012190

ココナツの林を抜けて細い道が伸びています

昨春に伊能さんが我が家に宿泊された時お土産に乾燥させた有機栽培のココナツをいただきました。
それは伊能さんが長年貧困地域の自立のため活動してきて日本政府や募金などで最近建てたばかり
の加工施設で地元の女性たちが製品化したものでした。
ヤシの林の中に立つ真っ白なこじんまりとした建物で2台の乾燥機を備えています。
おばちゃん達が白衣を着て私たちを迎えてくれました。
西伊豆の食品加工会社の社長さんは前回も訪問して色々なアドバイスをしてきたそうです。
今回も新商品開発の参考にしてもらうため自社の乾燥フルーツミックスを持参して見てもらって
いました。
前回お土産に「夜のお菓子うなぎパイ」を渡したところおばちゃん達に大ウケで「昨夜は寝かせて
もらえなかった」と、しばらくそのネタで笑いが絶えなかったという話で今回もうなぎパイをあげていました。下ネタは万国共通です(笑)それにしてもパワフルなおばちゃん達。
加工場を建てるつい最近まで地べたでココナツを剥いていたというので清潔な加工場は大きな変化です。ただ建てたら終わりではなくあくまで貧しい人たちが自立していくことが伊能まゆさん達の
目的なのでまだまだ奮闘は続くことと思います。

P3012197

ベトナムの牛、耳が長く大抵茶色。以前は農耕にも使われたと聞きます。
伊能まゆさんがNPO法人Seed to Tableでベンチェ省と共に活動してきた支援の一つにアヒル銀行や牛銀行というものがあります。貧困から抜け出せない世帯のためにアヒルを貸し出し繁殖させてもらい
軌道に乗ったら返してもらう仕組みです。ココ椰子の林は水が必要で縦横無尽に水路があるのでアヒルには適しているのでしょう。まゆさんが通っている貧困世帯の奥さんを訪ねました。
ご主人は建設作業に出ていて1日1100円くらいそれが雨季には2週間に1日くらいしか仕事が
ないということです。家も土地もなく教会の建物、というより掘建小屋のようなところを貸してもらって子供と暮らしています。すぐそばに牛小屋があり牛銀行で借りた2頭の世話をしています。
まゆさん達は支援が受けやすくなり出荷などの効率をよくするためにグループ化を進めたいのですが
なかなか簡単には進まないようです。けれど小さいことは笑い飛ばし時に厳しいことを言いながらも
ベトナムの人の信頼を勝ち取ってきたまゆさんのパワーには敬服しかありません。
行く先々で感じたのはそんなまゆさんの生き方にベトナムの人が感動しているということでした。

最後は村長さんの庭先でまた手作りの宴会。
最初の有機菜園の高校の校長先生もバイクで会いに来てくれました。
アコーディオンの伴奏でベトナムの人にも歌ってもらい踊りまた盛り上がりました。
ヤシだらけの村でした。あちこちに山のようなココナツ。

マイクロバスは一路ホーチミン市へ。
私と連れはニャチャンのオーストラリア人の友人に会うため空港で
降ろしてもらいみんなとお別れ。普段とはあまりに違う貴重な4日間を過ごしました。
スローフードとの関わりがなければなかった出会い。人と人のつながりに感謝!

小さい冬を混じえながら春は行く

P3282271

去年かぼちゃだった裏の畑はまだ溶けきらない雪と新たに降った雪でふたたび冬

石神井の富士街道沿いの角にハーベストというパン屋さんがあります。
1年に1度ライブに来た時に必ず寄ります。
角の2面の大きなガラスの前のカウンターに座り道行く人を眺めながら
パンいろいろ、サラダとデザートとコーヒーのセットを楽しみます。
店主の石井さんは同い年ということもあり親しみやすく笑顔になぜかいつもほっとします。
うちのジャガイモを使ってくれていてもう底をつきそうということで
再注文してくれました。
ガラス越しに町の流れを眺めながらここに住む人たちにうちのジャガイモを
今も食べてもらっているのかと思うと胸にジンとくるものがあります。
野菜のお客に実際に会って感想を聞くことは少し緊張しますが、
美味しかったと言われることが圧倒的に多くいつもほっとします。

昨日雪と土をどかし保管してあったジャガイモを掘り上げ発送。
そばの第二回目も製粉所に取りに行ったその足で製麺所に持ち込みました。
今は空が暗くなるほどの雪がしんしんと降ってきています。
こうして小さい冬を混じえながらも少しずつ春の到来です。


嬉しいニュース!

manpukunatuzora20190326_02_fixw_640_hq

広瀬すずさんと安藤サクラさん、共働学舎のラクレットがパンに溶け落ちるのを見ています


なんだか嬉しいニュースが入りました。
なんと安藤サクラさんが朝ドラのヒロインの広瀬すずさんとのバトンタッチのイベントで
当農場産のジャガイモ(サヤアカネ)を食べてくれたそうです。
イベントでは新得共働学舎のラクレットチーズとの組み合わせでしたが、
終了後に厨房に来られふかしただけのものを食べたりして
どこのジャガイモなのか尋ねていたという話でした。
これは新得から食材を持参しイベントにも居合わせた方からの電話の報告です。

写真では一番右の皿に乗っているのがサヤアカネだと思います。
(提供したのはA品はとっくにないので自家用にするような傷のあるB品でした)
昨年のこと、次の朝ドラ「なつぞら」の撮影で2度にわたり新得がロケ地として使われ、
広瀬すずさんら俳優とスタッフに出すロケ弁を新得に住む娘夫婦たちNONNOチーム
が引き受けました。
そこに当農場の野菜も使われたことで今回につながっていったわけです。

それにしても夢見たいな話です。「えっ?まさかー!本当に?」
そんな気分ですが今をときめく大女優が評価してくれたことは励みになるし
とてもありがたいことです。

後記
カーラジオで26日にニュースで十勝産チーズを溶かしてパンにかけたと言ってるのを
聞きました。NHKなので個別の名前は出せないのですね。多分そうだと思いましたが
後で聞くとやはり共働学舎のラクレットチーズでした。
ジャガイモは冬を越せばどこでも甘く美味しくなるので
たまさかの僥倖だと思っていますが、共働学舎がこうして大舞台で評価されることは
新得の仲間としてとても誇りに思います。


アンホワタイ村の有機農家と交流!

P2282020

有畜複合経営をしているチョウさん

ベンチェ省バーチー郡アンホワタイ村に有機農家を訪ねて

街道沿いには木陰や屋根の下にハンモックがあり昼寝をする人たちをずいぶん見ました。
小さなクボタのトラクターや長い物を担いだバイクやリヤカー付きのバイクなど、ここを
車で走るのも大変そうです。ひやっとしたこともありますが大抵不思議な秩序で守られています。

チョウさんは68歳くらいの真っ黒に日焼けしたお百姓さん。
写真の奥の方の牛小屋に3頭の牛を飼っていてその牛糞から堆肥を作ります。
20アールの畑にトマトやメロンや葉ものやニラや唐辛子などを植えています。
共栄作物を混植したり敷き藁を敷いたり細かいベッドに分けて管理しています。
この時期はテト(ベトナムのお正月)が終わった後で野菜のあまり売れない時期だと
聞きました。野菜たちはいきいきして美味しそうでした。
草取りとか大変だけどお互い頑張りましょうと話してくれました。

この郡に幾つか有機農法を進めるグループがあり参加型保証システムという有機認証を
受けています。貧しい農家が多いので行政も認証に関わり負担を軽くしているのだそう。

まゆさんらのSeed to Tableが有機農業の研修会を開いたり村や郡にお願いして回ったり
農家同士のグループを作り共同出荷体制を整えてきました。
まゆさんはここでも農家や村の職員や農業普及員から絶大な信頼を受けています。
テルマエロマエのヤマザキマリさんが伊能まゆさんの活動を取材したものがNHKで
放映され書籍化したものがあり入手しました。4日間一緒に行動しても聞けなかった
ことがあり理解をより深めることができました。
P3192270

アジアで花咲け!なでしこたち2 ヤマザキマリ&NHK取材班
Seed to Tableのホームページ
http://seed-to-table.org/about.html


P2282038

チョウさんの堆肥、ミミズがたくさんと思ったらヤスデのような足がたくさんあるやつでした。森林のような良い香りで良く腐熟しています。

P2282032

農業普及所からもハイさんやチュクさんが来て一緒に見学です。中央の女性が伊能まゆさん


この後、すぐ近くの弟さんの農場に歩いていくとそこも花にあふれた中の気持ちの良い
有機の畑で女性たちがすでに集まり採れたての野菜で私たちのために歓迎の料理を作っている
最中でした。
P2282074


P2282096
P2282098

現地のまゆさんの仕事に協力するカオちゃんとTシャツ。高校生がデザインしたというSeed to Tableのオリジナルでちゃんとお金も回るようにドルが添えられています。オーガニックと経済的な自立というメッセージも入ってデザインも素敵です!

P2282121

新鮮な野菜をふんだんに使った郷土料理と手作りのお酒で交流会です

P2282126

アコーディオンで青虫の歌を歌いました。この後バイクで来る行政側の人も増えてさらに盛り上がることに。おじさんたちも踊り出したくさんの笑いがありました。ベトナムの人は陽気です。

P2282119


その村からホテルにいったん戻り今度は固定された船のレストランでベンチェ省の副知事さんから
夕食に招待していただきました。どれだけの働きをまゆさんがしてきたことかと頭が下がります。
ベンチェ町のメコン川のほとりです。庶民の暮らしが川にもあっておおらかさを感じました。
P2282134


ベトナムの高校の有機菜園

P2271975


ベンチェ省タインフー郡ルオンテーヴィン高校の学校菜園

10年ほど前スローフードフレンズ北海道主催のイタリアのドキュメント映画
「テッラマードレ」(母なる大地の意)を札幌で観る機会がありました。
トリノで2年に1度開かれるスローフード世界大会の様子と
各国での持続的農業などに取り組む姿を詩情豊かに捉えていました。
その中で自分に余韻を残し続けていたのは確かアメリカかどこかの高校で
生徒たちが校庭を耕しオーガニック農法で野菜を育てている姿でした。

それと同じ取り組みをベトナムは南部のメコン川デルタ地帯ベンチェ省の高校に
見せてもらいました。それが有機農業を巡る旅の皮切りでした。
案内してくれたのはベトナム在住の伊能まゆさん。
NPO法人Seed to tableの代表として日々貧しい人たちの生活改善として有機農業を
根付かせようと走り回っています。学校に有機菜園を定着させたのもまゆさんの力です。

まゆさんは去年春にベトナムの人々を北海道の研修旅行に引率する前に
新得に大町さんというスローフードの友達と来た時に我が家に一泊しました。
楽しい陽気な宴の時に出たのが私たちのベトナム訪問の話でした。
コンサートツアーをベトナムでなんて半分冗談で盛り上がりました。

偶然は重なるもので同じ頃、数年前ウーフで滞在したベトナムに長年在住の
翻訳家&アーティストのオーストラリア人女性からメールをもらったりして、
もうこれはベトナムに呼ばれているから行くっきゃないと思い込んだのでした。

ココヤシの中の田舎の街道を総勢8名でミニバスに乗って赤地に黄色い星の
国旗はためく高校に着きました。乾季なので暑いけれど風が気持ち良い2月末でした。

校長先生ははつらつとした笑顔の美しい人で、え?こんな人がとちょっとびっくり。
この方も昨年春に占冠山菜市で会っているはずです。
先生方も若い人が多いし生徒たちもピュアーな感じの子が多くみんなで
私たちを歓迎してくれました。
高校生と校長先生が私たちを学校菜園に案内して説明してくれました。
強い日差しとスコールを避ける為透明と黒の寒冷紗が交互に張られています。
堆肥を作ったり水をあげたり混植を考えたり唐辛子やにんにくで自然農薬を作ったり
生徒が当番制で世話をしています。敷き藁を丁寧に敷いていたり作物は生き生きと
元気に育っていました。この辺りは時に塩害が起こるのでそれが一番大変そうでした。

P2271968

そのあとは大きな部屋に移動して有機菜園の取り組みを子供たちがプレゼンテーション。
とても楽しんでやっていること、出来た10種類の野菜を地域で販売もしているとのこと。
野菜の味はある生徒が家に持ち帰って両親に内緒にしていて食べた後この美味しい野菜は
どうしたんだと言われとても嬉しかったことを話してくれました。

そこには省の教育長や党の幹部のような人も来ていました。
そんな偉い人が最後にはっきりと環境に配慮することや有機農業の大事さを話したことに
すごい!と思いました。

学校菜園は始めた当初は単なる農業体験としてスタートさせたけれど
有機に変えてから子供たちが興味を持ち出して卒業生の中で4人が農業の専門家として
学ぶようになったと校長先生は話しました。

P2271960

高校生たちがデザインコンペで描いたオーガニック菜園の看板

プレゼンも終わった頃、菜園では当番の子供たちがジョウロで水をやったり
生えの良くない場所に何かの苗を移したりしていました。
その表情は生き生きしていて本当に大事なものを育てている風でした。
そんな子供たちを前に持って行ったアコーディオンで青虫の歌を歌いました。
こんな夢見たいな風景で歌わずにはいられませんでした。

さてそんな水やりに励む子供たちをよそに
体育館の中では先生方全員と交流会の名のもと酒宴が始まりました。
このあたりも規則にうるさい日本ではありえないことでしょう。
手作りの料理、海沿いなのでカニやエビもたくさん用意していただき
地酒を握手しつつ酌み交わしました。まゆさんが通訳してくれたからこそですが、
国の違いがどこかへフッと消えたように感じていました。
しかもオーガニックで繋がっているなんてとても素敵なことです。
ベトナムの人々のおおらかさとホスピタリティに感動した夜でした。
P2271973

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新コメント
月別アーカイブ
  • ライブドアブログ