旭川のホテルで北海道有機農業協同組合の冬の会議があり参加してきた。
旭川市内を車で行くと横断歩道を人々がスローモーションのようにゆっくり
歩いていて不思議な光景だった。
それは雪が多く圧雪状態ですべりやすいからなのだが、
否応なく人も車もゆっくりめになるこの風景には何かノスタルジックなものを感じる。
全道各地からくる農家達と旧交を暖め若い新規就農者もいて厳しい農業環境の中にも一抹の光を見る思い。
有機農協の職員も本当に良くがんばってくれている。
ゆうきの実という宅配システムを充実させようと広報にも力を入れたり
生協との協力関係などでも販路を広げようと前向きに取り組んでいる。
まず生き残る事が大事だがこの有機農業は生活の質を高めるということも
含んでいると考えるのでますます発展して社会に深くささりこんで
いってほしいと願うものだ。
1泊してから名寄の友人夫婦宅へ向かった。
こんなきっかけでもなければ中々遠くて簡単には行けないところ。
北に向かうに連れて道路はすべりやすくさらに雪の量は多くなり
木には枝もとに丸い雪玉がいくつもたまり青空に映えている。
電柱のてっぺんには丸い雪の帽子が決まってある。
軒先にとぐろをまくような厚い屋根の雪、歩道は高い雪壁でさえぎられ
北国の厳しい雪の試練を思った。
友人宅ではさらに懐かしい友人も呼んでくれて
ミニコンサートをして楽しい夜の宴となった。
そして一夜明けけさの気温はマイナス26℃であった。
遠くの何かの煙はまっすぐ上がり途中で横にゆっくりと折れ曲がり
雪面から上がるけあらしのようなもやで霞む青空へと消えていく。
たった1両の列車は蒸気を吹き散らし雪煙をまき上げながら朝陽の中を走り抜ける。
雪の大きな結晶は青に赤に光る。
そんな26℃の世界。
シャープな線と寛容さの同居しているその友人のような風景だった。
すぐに手が痛くなるのだがなぜかこの風景が暖かいものに感じるのは
そのような友人達の暖かい心のそばにいたからかもしれない。
帰りがけ町の小さな金物屋の店先にずらりと並んだ除雪器具がピーカンの日差しを浴びていた。
次の大雪に誰かに買われるのを待ちながら今はゆっくりと道行く人を眺めてる。